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私は、よく泣くけれどそのときの記憶がなくて
記憶を束ねると、結構笑っているつもりで
四捨五入すれば、きちんと日々を刻んでいる。

笑っていないときは無表情で、
私がかろうじて描いている絵も
笑っているか、無表情しかない。

笑う、その行動がどれだけの意味を持つのか
泣くことの根本と、大差ないということを
描きながらよく考えている。

少しクセのある、柔らかい髪を短く切った少女が泣いている。

決して涙を見せない主人公が泣くこと
笑ったことのないおじいさんが、家族の前で初めて笑ったこと
そこに、意味の違いがあるのか
私にはよくわからなくて
全く別の情景を、似たような気持ちで見ている。

怒りのポイントが人それぞれだということや
それによってどんな対処をするのか
人の行動すべての根源に
もしかしたら全く同じ出来事が起こっている可能性。

よくわからなくなってしまいますか?
誰かが泣いている隣で、ほくそ笑んだことはないですか?
目の前で血を流している生物を見て、自分ではないことに快感を覚えたことは?

私は何度だってある。
気持ちの糧は、優越感だと思い始めていた。
人より劣っていることが多くなったこの人生で
時々出会えるこの感情を、とても愛おしく思うことは
指先で測れない広い世界の、たったちっぽけな優越感は
許されてもいいだろうと。
そう思うそれが、形を成していた。
それを見ていた。

泣いている少女の足から、根が伸び始めた。
乾ききった土壌から、奪うように水分を帯びて
おしまいだと泣きながら、それでも呼吸をする泣き顔に
束の間、不器用に笑ってしまった。

ただ、それだけのことで。
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(Design by 夜井)

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